ホーム > お知らせ

お知らせ(2020年02月)

1~2件 (全2件) | 1 |
TBSの日曜劇場『テセウスの船』は、現代から平成元年にタイムスリップした青年が、大量殺人の冤罪を着せられた父親と家族を救うために奔走する物語です。主人公の田村心(しん)を演ずるのは、昨年、日本歯科医師会主催のベストスマイル大賞に選ばれた竹内涼真さんです。私も授賞式を取材させていただたいたことから、ドラマを視聴するようになりました。

原作は青年誌に連載された東元俊哉さんの漫画で、既に完結しています。ドラマの参考に前半の部分だけでも読んでみようとコミックスを少しずつ購入しましたが、堪え切れずに全10巻を読了してしまいました(笑)。


   (『テセウスの船 10』東元俊哉作 講談社刊)

ただ番宣によると、ドラマでは原作と真犯人が異なるとのことで、違った展開も見せています。タイムスリップという難しい設定から、「どうしてそうなる!」と突っ込みどころ満載ですが、父親役の鈴木亮平さんらの演技が素晴らしく、何よりも熱演する竹内涼真さんが漫画の「心さん」にしか見えないのです。久しぶりに次週が楽しみなドラマです。

「テセウスの船」とは、部品が全部入れ替わってもそれは元の船と同じと言えるのか、という古来からのパラドックスです(浅学で、初めて知りました 汗)。これが人間ならばどうなのか、過去の体験等が変わっても同じ人間と言えるのか、というのが本作のテーマのようです。
私は、過去の積み重ねが現在の自分を形成していると実感するので、過去が変わったら同じ人間とは言えないと思います。中身が変われば、それに伴い顔つきなどの外見も変わるものだと思います。

ドラマで、死刑囚として長年にわたり拘留されている父親役の鈴木亮平さんが見せる、悟りきったような表情と面会者に対する慈愛に満ちた声音は、冤罪で苦しめられた過程で成熟した人間性を表現しているように見えます。
私は、何人かの冤罪被害者とご家族にお会いしたことがありますが、自分のことだけでなく他の冤罪被害者を支援するその方たちの語る言葉は深く重く、私の胸に刺さりました。理不尽な究極の人権侵害を受けた試練により培われた精神性は、強く崇高なものがありました。

「人」を「会社」に置き換えても同様です。過去の上に現在があります。
その中で、魂とか本質というような、変わらない「核」のような部分は確かにあるとは思います。大切な核を見失わず、過去を踏まえて今を生き、そして未来へ…と、いうところでしょうか。

原作本はドラマ化によって火が付き、版元は増刷を繰り返しているそうです(うらやましい限りです)。この出版不況下でも、読者のニーズに合えば本は売れるのだと改めて思い知らされます。
品切れの書店もあるとのことでプレミアが付きそうな状況下でありながら、逆にドラマ化記念として「1~3巻セット」で定価の半額以下の廉価販売に踏み切っています。電子版の無料試読も大幅にページ数を増やしてサービスを拡大し、押せ押せでベストセラー化を推進しています。まさに、損して「大きく」得取れです。歯科図書専門の小出版社からすると、なかなか見習うことも難しいような商法です。

また、コミックスの購入でもう一つ気づいたことがあります。
漫画のコマ割りがざっくりと大きいのです。慣れないとスカスカに感じて何だか物足りなく、実際に短時間ですぐに読めます。電子版も試読していたので、絵面が細かいと電子書籍にしたときに読みにくいからだとようやく気づきました。その視点で他の青年漫画誌を見ても同様の傾向は顕著です。昔の漫画とは明らかに変わってきています。

確かにスマホで電子版の漫画を読むときに、かつて愛読した小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言』のように、細かなコマ割りとぎっちりと小さいな文字で、背景まで緻密に書き込んだ力作は読みにくいでしょう。
弊社は紙書籍がメインではありますが、電子版との同時発売を進めていますので、電子化への配慮も必要になります。

文化も商いも時代とともに変わります。それも予想していなかった形で。遅れずについて行かなければ…(最近、こればっかりですが 笑)と、思いを新たにしています。

このページのトップへ

昨日、東京・高田馬場で開催された「第3回 歯初診・外来環・歯援診・か強診のための講習会」に、東京歯科保険医協会様のご厚意により、スタッフとともに参加させていただきました。
4人の講師の先生による5時間半にわたる講演は、幅広い視点からこれまでの歴史も踏まえた最新の情報と未来への方向性を示した非常に価値のある内容でした。



馬場安彦先生の講演では、小児に対して「発達過程に合わせたステージ別の評価と口腔機能管理が必要」であると説かれました。まさに弊社最新刊『成長・発達期における不正咬合の早期治療』(佐藤貞雄・白数明義ほか著)の目指す趣旨と合致します。
また、高齢者に対しては、「口腔機能低下症」という新たな病名が付けられるようになり、ライフステージに応じた口腔機能が求められていることをお話しくださいました。

繁田雅弘先生は、精神医学講座教授のお立場から、高齢者のうつ病と認知症等について疾病の基本的な構造や患者さんへの対応の仕方について、ポイントを示してくださいました。
なかでも、認知症になっても情緒や人格は変わらないこと、また日本は身体的拘束には注意が向けられるが、精神安定剤の投与も欧米では「拘束」の一種として捉えていることなど、医療の厳正な本質を教えられました。

森元主税先生の講演では、訪問歯科診療の需要が今後ますます高まることがよくわかりました。多職種が関わる訪問歯科診療は医療者側としては苦労が多いですが、高齢者の最大の楽しみは「食事」です。人生の終盤を幸福に過ごしていただくために、歯科の果たす役割は非常に大きいです。

総義歯ならば本人や介助者でも着脱が可能だけれど、パーシャルだと果たしてできるのか?というお話は心に残りました。歯を抜かない歯医者が良い歯医者だと言われてきたが、人生の終末期には歯を適切に上手に抜くことのできる歯医者が必要になります。
これは、弊社発行の『噛めない義歯を噛めるようにする技法』の著者・川原田幸三先生がずっとおっしゃっていたことなので、よくわかります。

最後は、坂下英明先生が院内感染対策や緊急時の対応、医療事故等の対策について、過去の事例を紹介しながら、現在求められている水準をお話しいただきました。
スペイン風邪から昨今恐れられている新型コロナウイルスまでわかりやすく網羅し、有名なキンバリー事件やご自身が鑑定人として関わった歯科医療事故訴訟のお話まで、非常に興味深く受講させていただきました。



百数十人の受講生の先生方も皆さん、熱心に受講されていました。
講習会を終えて、私が強く感じたことは「歯科は進んでいる!」ということです。進歩・進化のスピードが速く、非常に高いレベルに向かっているのです。これは本当に頼もしい限りです。同時に、私も遅れずについて行かなければと身を引き締めました。

関連書籍はこちら

このページのトップへ

1~2件 (全2件) | 1 |