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編集長のブログ171 令和の蔦重にはなれなくても

早いもので、もうすぐクリスマス、それが終わると今年は12月26日で仕事おさめ、そして1月4日まで年末年始休業のところが多いようです。カレンダーの並びでは9連休ですね。
本日(12月21日)は、連休に入る前では最後の日曜日です。

今年は、日曜日と言えばNHKの大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」を観るのが楽しみの1年間でした。先週(14日)の放送は、主人公の蔦屋重三郎が亡くなり、仕事仲間らのにぎやか屁踊りに囲まれ、芝居の終了を知らせる拍子木が鳴って「おしまい」となりました。最後まで明るく、粋な最終回の演出でした。

しかし、日曜日の楽しみがなくなってしまっただけでなく、まだ死ななくても良いはずの主人公の死はやはり寂しいものであり、「何で脚気なんかで死んでいるのか」と思わずにいられません。白米に梅干しと具のない味噌汁だけではなく、雑穀米や小豆飯、ウナギや小魚、海藻類などは食べられなかったのか、と残念に思います。
想像するに、吉原っ子の蔦重は、市中の江戸っ子以上に「粋(いき)」というものをこだわっていたのではないか、と。彼らが一番嫌うのが、粋の対極にある野暮(やぼ)です。「白い飯に梅干しこそが粋。具だくさんの味噌汁や、おかずを沢山つけるとか、野暮なことはしねぇ」と思っていたのではないかと、勝手に想像しています。板元(現代の版元)として成功している蔦重に、さまざまな食品を食べる財力がないとは思えないし、他の板元は脚気になっていませんから。

弊社発行『季刊歯科医療』で「健康歯学概論」を好評連載中の清水英寿先生は、人形作家でもあり、ご実家の商いからも織物や和装に関してはプロです。江戸文化にも造詣が深く、私と同じように『べらぼう』を毎週楽しみにご覧になっていたそうです。そんな清水先生から、蔦重と私とを重ね合わせて観ていたなどと、過分なお言葉をメールでいただきました。
もちろん遠く及びませんが、「それでは私は『書をもって、歯科界を耕す』(笑)」などとメールを返しました。
私などが、調子に乗るはずもありませんが、死ぬまで本を作り続けた蔦屋重三郎の生涯は尊敬しますし、また横浜流星さんの演技も素晴らしかったです。
微力ではあっても、志だけは負けずに頑張ろうとの思いを強くしました。

閑話休題、いつも素敵なグリーティングカードを送ってくれる方から、今年もユニークなクリスマスカードが届きましたので、皆様に一足早い「メリークリスマス!」といたします。

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