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編集長のブログ116 コロナ感染対策、歯科は本当に深刻なのか

前回の本ブログで、日本歯科医師会が読売新聞に出稿した全面広告をご紹介いたしました。医療界が新型ウイルス感染対策で非常に難渋している現状で、歯科の臨床現場における感染は、全国的にも未だ報告されていないとのメッセージが国民に向けて発信されました。
私は、歯科がこれまで院内感染予防に注力してきた成果の現れであると高く評価し、歯科の臨床現場における皆様のご努力を誇らしく感じていました。

ところが、昨日、2020年5月8日付の読売新聞夕刊社会面に、「歯科、眼科、ジレンマ 新型コロナ」との大見出しで、「飛沫近く感染恐れ」「休診なら経営打撃」との中見出しが添えられた、ショッキングな記事が掲載されました。


    (「読売新聞2020年5月8日 夕刊」より)

確かに、定期歯科健診などの急を要しない治療は、アポイントメントをずらすなどの措置が取られ、審美治療や自費診療なども今は控えている時期ではあります。経営面での悩みがあるのは当然で、それは医療のみならず他の業種でも同様です。
しかし本当に、数ある医療の標榜科目のなかでも、歯科と眼科は特別に悩ましい状況なのでしょうか。

殊に記事で気になったのは、「患者の口元に近づくため、飛沫を浴びやすい。歯科スタッフの感染も全国で確認されている。」との部分です。
この説明では、歯科治療で飛沫を浴びた歯科スタッフがコロナウイルスに感染したことが「全国で確認されている」と解されてしまいます。しかし、実際は、歯科治療の現場で感染が発生したのではなく、感染者のなかに「職業:歯科医院スタッフ」が含まれるという意味ではないでしょうか。

以前、中部地方の観光牧場のアルバイト女性が、クラスター化した関西のライブハウスに遊びに行き感染した例が報道されていました。たまたまその職業の人から感染者が出たというだけで、「観光牧場が危ない」という話ではありません。日本歯科医師会の発表と矛盾することと併せて考えると、今回の新聞記事も同様の話だと思われます。

私も出版の仕事をしていて、人目を引くタイトルや見出しは大事であると常々感じています。タイトルひとつで売れ行きに如実な影響が出る場合もあります。しかし、同じ「看板に偽りあり」でも、惹句程度で愛嬌として許されるものと、必死で努力している人たちを貶めることになり許されないものとがあると思います。

風評被害を跳ね飛ばすためにも、今後も歯科界の努力は頑張って継続していかなければならない、私たちもより一層の応援が必要だと考えています。

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