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編集長のブログ86 診療報酬「妊婦加算」が凍結へ

2018年度の診療報酬改定で、医科に妊婦加算が新設されました。妊婦が医療機関を受診した際に加算されるもので、薬科にも適用されます。しかし、歯科は適用外のため、歯科診療報酬にも同様に新設されるべきであるとして、日本歯科医師会などが活動を進めてきました。

妊婦に対する配慮は、エックス線診断を日常的に行うを歯科臨床の現場は身近なところです。結婚して子供を授かる可能性が生じた女性が、「レントゲンを撮られるから、妊娠する前に歯の治療をしておこう」と考え、歯科を受診したという話はよく聞かれます。

そのため、歯科が蚊帳の外であることはおかしいという歯科医師会の活動はもっともなことと思われ、弊社も応援しなければいけないと考えていました。
ところが、今月13日、厚労省が妊婦加算について運用を凍結する方針を固めました。


        (2018年12月14日 「読売新聞」朝刊1面より)

要するに、医療費における妊婦の自己負担が増えることから、少子化対策に逆行するとの批判が出ていたのです。「妊婦税だ」などとまで言われていたようです。
妊婦側からすると、自分の財布から出るお金が増えるだけだから、余計なことをしないでくれということなのでしょう。私は、自己負担の増加がどれだけ本人の重荷になるか、という観点を見落としていました。

電車などでお年寄りや体の不自由な人に席を譲るのは当たり前だから、「あえてシルバーシートは必要ない」という論議が時折なされます。しかし、満員に近い電車内でシルバーシートに空席があっても、いざお年寄りなどが乗車してきたときのために、若者らは立ったままでいるという光景も見られます。一般社会においてはシルバーシートは確かに役に立っています。

それに対し、プロ集団である医療機関が、妊婦に対し特別な配慮をすることは当たり前のことです。当然の行為を行うために診療報酬が加算され、受診者側は薬代を含めた自己負担増に苦しむというのはよく考えるとおかしく、「凍結」が望ましいように思えました。
凍結の方針を進めた立役者は、小泉進次郎厚生労働部会長とのことで、政界の次期エース候補に挙げられるだけの力量はあるようです。

物事を両面から見ることの大事さはよく分かっていたつもりですが、習慣のように「逆の立場から見たらどうなのだろう?」と考える癖をつけておきたいと思いました。

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